最新のよみもの

2020.08.24

久米農園さん vol.1

こんにちは。
スタッフブログ3回目の今日は、ちょっと長めになると思います。
というのも、私たちがハコの中でこだわって詰めている「加賀野菜」の話になるからです。
7月末の梅雨の雨の中、金沢市郊外かほく市にある「久米農園」さんを取材させていただきました。
久米さんといえば、金沢で加賀野菜に関わっている方なら知らない方はいないと言えるほど、
金沢の市場で確固たる地位を築かれている農園さんです。

米林利榮さんと息子さんの格榮さんにお話しを伺いました。
お話し好きの利榮さん、2時のお約束から気付けば4時半過ぎまでずっと色々お話し下さいました。
もう、本当はみなさんに全てをお伝えしたい!と思うくらい名言が次々と出て、
かと思えば冗談も飛び出し笑いの絶えいないインタビューでした。
その中でも、私個人がとても心に残ったこと、それは私たちの「イチバのハコ」の想いととても重なる部分がありました。

それは、「残す」ということ。
そして、「選ばれる」ということ。

「残す」ということは、つまり継承していくこと。
久米農園さんは、様々なお野菜を作られている中、
加賀太きゅうりを接ぎ木ではなく、オリジナルの種を残して生産されている唯一の農家さんであり、
また、金時草の周年栽培を実現し、その安定供給を確立した立役者のお一人です。

加賀太きゅうりの栽培は昭和10年頃から行われていたそうで、金沢でも南の地区(三馬、横川、久安など)で20軒ほどの農家さんを中心に行われていたそうです。
久米農園さん、その屋号は「久」安の「米」林さんからきており、当時は久安で農業を行なっていました。
そして、55年前に久安の農地改革をきっかけに、今のかほく市に農園を移されたそうです。
加賀野菜のブランドは「金沢市内で栽培されている、昭和20年以前から作られていた野菜15種」との定義があるため、久米農園さんがあるかほく市は厳密に言うと、対象地域外となります。
しかし、久米さんは、現在でも唯一加賀太きゅうりのオリジナルの種を脈々と引き継ぎ、またその種を他の農家さんに配り広めることで加賀太きゅうりの普及に大きな影響を与えた功績から、久米農園の加賀太きゅうりは「元祖加賀野菜」と認められています。
久米さんの加賀太きゅうりの秘密は、その土へのこだわりです。
加賀太きゅうりのハウスに入った途端に、他のハウスとは違うその芳醇な香りに驚ろきました。
米糠に納豆菌を混ぜて発酵させた肥料を使っているとのこと。
ところどころピンクがかったり緑がかったりするその土、自然の菌の力で土が生きているのが見てわかります。
また、収穫真っ盛りの加賀太きゅうりの中に、種を採取する目的で一際大きく育った太きゅうりがありました。
格榮さんが「重さで落ちないといいな」とそっと愛おしく見つめている姿がとても印象的でした。
ここから取られた種が、また次の作付けへと受け継がれていくのだと思うと、そのジャイアント太きゅうりが急に頼もしく見えたのでした。
そして、「種を残すってことが大変なんや。後継者がおらんといけんから。」と語る利榮さんのお言葉を、
息子さんの格榮さんがしっかり受け止めて、大事に繋いでいっているのだな、と感じました。

また、金時草はその昔、北前船の商人により沖縄や南九州からもたらされたと言います。
暖かい気候から来たその野菜が、この雪国で冬を越えるのがどんなに難しいかは容易に想像できます。
それを可能にした利榮さん、「大事なのは気候風土をしっかりと知ること、そして人の話をちゃんと聞いて学ぶこと」。
かほく市の山の中にある久米農園さんは、金沢市内よりも気温が低く、雪も多いため、
大雪でも耐えうるハウス作りを先人たちの知恵を借りつつ、独自に工夫を重ねてこられました。
まずは、ハウス。ハウスとハウスの間隔を広めに取り(ハウス1個分程)、その間を深く掘ることで雪がそこにたまり、ハウスから落ちた雪が隣のハウスを潰したりしないよう工夫されていました。
限られた土地で多く収穫したいと思うと、その間隔をついつい詰めてしまいたいと思うのが人間の性。
それをせずに、土地風土に合わせたハウス作りが、結果雪害に強い農園を作り上げました。
その成果もあり、かほく市に移られてからの55年間、一回も雪害でハウスが潰れたことがないそうです。
また、久米農園さんの金時草のハウスに入った瞬間に、真っ先に目が行くのは、等間隔で綺麗に並ぶ「スーパードライ」の空き缶でした。
私はてっきり米林さんファミリーが無類のアサヒビールの大ファンなのかと思ってしまいました。笑
しかし、それにはちゃんと理由がありました。
色々な缶で試されたところ、スーパードライのシルバーの色が一番光を反射し虫を寄せ付けない効果が高かったそうです。
また、缶のカラカラなる音がモグラ除けにもなるそうですよ。
そして頭上には、一見怪しげな赤いライトが吊るされており、その赤色で虫が方向性を失い金時草に着くのを防ぐそうです。
そんな工夫満載なハウスの中で、今が旬の金時草がスクスクと育っていました。

最後に、とっても胸に残った利榮さんのお言葉を。
「一年一作の農業は、それだけ危険な仕事や。自然相手やし、一回でも手を抜くとその年の収穫が出来なくなる。
でも、常に現場にヒントがあって、大事なのは地力なんや。百姓はダラ(金沢弁でバカの意味)では出来んげん。」
ただ「残す」のではなく、地元の気候風土を敬い守り、
常に工夫を重ねて、きちんと品質の良いものを作り続けること。
そういう一貫した姿勢、そしてこれまでの実績がこの発言に全て現れていると思いました。
利榮さんのお言葉にはひとつひとつとてもパワーがあり、そして発言に淀みがありません。
それは、やるべきことをきちんとやり、地に足をつけて田畑を耕してきた、そういう生き方を重ねてきた方にしか出せない言霊だと思います。
私は後半胸を打たれ目頭が熱くなる瞬間がありました。
一度お会いしただけで大ファンになってしまう、そんな魅力のある方が作られているお野菜、美味しくない訳がないですよね。

私個人、「イチバのハコ」を通じて、近江町市場と以前より関わりをもたせていただくようになり、
食文化を残すこと、伝えることについて考えることが多くなりました。
近江町市場で働く方々や、イチバのハコチームの料理研究家谷口と話す中で、
皆さんに共通することがひとつあります。
それは「美味しいもの」を「美味しいんだよ」とハッキリ伝えられること。
美味しいものをきちんと知っているから、「これは私は美味しいと思うけど、あなたはどう思うかわからないよ」という濁した言い方をしないのです。
「美味しい」という感覚は人それぞれかと思うのですが、そういう云々ではなく、素材の良さ、それを活かす調理の方法、味付け、自信を持って教えてくれます。
時には買おうとして手に取った食材を「今日のそれ美味しくないよ。買わない方がいいよ。」なんて言われることもあります。
私、この言葉を聞くたびに、おみちょの人たちが大好きになります。
お店をするにあたって、最低限の品揃えを確保する必要がある中、時にはお眼鏡にかなわない食材があることもあるのでしょう。
売っているのに、買うのを勧めない、なんという矛盾。笑
でも、それだけ真剣に「美味しい」ものに向き合っているから、できる発言なんだと思うのです。
そんな実直なそして真のプロの目利きが、こうやって脈々と金沢の「美味しい」を守り伝えているんだろうな、と思います。

それは、久米農園のお二人の姿勢とすごく重なるものを感じます。

さて、ちょっと長くなってしまいましたので、「選ばれる」に関しては、次回お話しさせてください。
長い文章におつきあいいただき、ありがとうございました。

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