2022.12.14
中屋食品さんの削り節
投稿スタッフ
こんにちは。
今日はお出汁のお話です。
皆さま、普段どのくらいの方がお出汁をとられているでしょう?
最近では便利な出汁パックなども多くあるので、それでとられる方も多いのではないでしょうか。
イチバのハコの料理研究家谷口直子は、「日本のお出汁は、世界で一番簡単なスープストック」という言葉をよく口にし、
お料理体験やお教室では、お出汁からお料理を始めることを大事に伝えています。
良いお出汁が朝からとれた日は、それだけで「勝った!」という気持ちになれるというほど、
その日のお料理の出来を左右すると言います。
イチバのハコでも、お出汁を使うお料理のレシピをお送りする際には、基本出汁のとり方も一緒にお届けしています。
定期便のツキのハコのご契約者さんの中には、ツキのハコを通じてお出汁をとることのハードルが下がり、今では習慣になったという方もおられます。
一度全てのお道具と食材(それも多くはありません)を揃えてやってみると、本当に簡単で、そしてお料理の味をワンランクもツーランクも上げてくれます。
一度に多く作れば、冷蔵庫保存で2-3日はそれを使用できますし、お料理の味が毎回イマイチ決まらないなという方は、一度試してみられることをオススメします。
近年では「旨味」という言葉も、英語で「UMAMI」と表現されるようになり、海外の方でも日本のお出汁文化に興味を持たれる方が多くなりました。
人間の味覚に関しては、元来甘味、塩味、酸味、苦味の4つの基本味があるとされており、それに新しく加わった第5の味覚が「旨味」といわれています。
実はこの「旨味」を発見したのは日本人であり、旧東京帝国大学・池田菊苗博士が、4つの味では説明しきれない味があることに気づき、昆布だしの味の正体を明らかにする研究を始め、1908年、昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功し、その味を「旨味」と名づけました。
日本特有の、お出汁文化の「旨味」と思われていた「UMAMI」は、その後海外の様々な食材や発酵食品にも含まれていることが確認され、現在では、グルタミン酸以外にもイノシン酸、グアニル酸などがうまみ物質として定義されています。
旨味成分のそれらは、掛け合わせることで、旨味の相乗効果があるともされており、例えばグルタミン酸を含むトマトと、イノシン酸を含むベーコンを一緒に調理することで個別に味わうより何倍も美味しく感じると言います。
その掛け合わせの段階で、とても有効な素材とされているのが和食の基本であるお出汁です。
先の例えのようなトマトとベーコンは、各々の味が強いので、それはそれで美味しいのですが、どちらかの食材の独特の繊細な味わいを引き出すとなると、難しいですよね。
その点、お出汁はそれ自体は強い味を持っておらず、掛け合わせる食材の素材を活かす引き立て役として、唯一無二の存在意義があります。
前提が長くなってしまいましたが、そんなお出汁をとるのに欠かせない【削り節】について、おみちょに店舗を構える「中屋食品」さんに取材をさせていただく機会をいただきましたので、その際のお話を書きたいと思います。
中屋食品さんは昭和25年創業の削り節メーカーで、金沢から全国へこだわりの商品をお届けしています。
素材は全て国産のものにこだわり、自分の舌で確かめて、信頼のできる業者さんから仕入れられておられます。
HPにあるこちらの一文が、とても印象的です。
「けして料理の主役にはならない削り節は、謙虚でありつつも料理の向こう側に大きな存在感を漂わせています。」
今回は、代表取締役の中屋博明さんにお話を伺い、製造工場の中までご案内いただきました。
中屋食品さんは金沢駅より車で5分もかからない閑静な住宅街の中、京町に本社兼工場を構えられております。
本社に到着して、車から出た途端に、削り節のなんとも言えない芳醇な香りに包まれ、それだけで私たちのワクワク感は膨れ上がりました。お出汁にこだわる料理屋さんの前を通った時の、胃袋がその香りを喜んでいる、そんな感覚です。
本社二階の応接室にご案内頂き、中屋商品さんの削り節愛好家の谷口がお出汁愛を語る中、中屋さんがとても謙虚に聞き役に回ってくださったのが印象的でした。そんなやりとりの中でも、ひとつひとつの相槌やお答えが、とてもスマートで、謙虚なだけではなく頭の回転がとっても速い方なのだなと思いました。
特に印象に残ったやりとりが、谷口が自身が受け持つ短大での授業の際、一番最初のクラスでお出汁のとりかたを教えると、大体の学生さんが塩味が足りないと言い、正解な味なのになかなか分かってもらえず苦労しているとお話ししたところ、中屋さんのお子さんたちは、逆に小さい頃からお出汁で育てているから、外食をするといつも味が濃いと言うというお話。
生活習慣病で塩分の摂り過ぎが問題視されるようになりしばらく経ちますが、舌が敏感な幼い頃からちゃんと本当のお出汁の味を知っておくことって、将来の健康寿命にとっても良い影響を与えるのではないかなとその話を聞きながら改めて思いました。
ちょうど、今回取材に同行いただいたfutabaさんと、行きの車の中で、コロナ禍で外食をする機会がほとんどなくなり、家ご飯に慣れたら、たまに外食すると塩味が強く感じるようになったと話していたので、その話ともリンクしました。
全ての外食がそうではないにしろ、塩味が強いもの=美味しいになっている傾向はあると思うので、今一度お出汁の「旨味」を生活に取り入れることの大切さを感じました。
そんな食文化をしっかりと伝え残して行きたいね、と中屋さんと私たちは、今後何かご一緒できる機会があったらして行きたいという想いを共有させて頂きました。
さて、その後は工場見学。
真っ白な作業服と、頭に被るヘアキャップをご提供いただき、いざ工場へ。
工場に入る前には、身体についたホコリなどを吹き飛ばすために四方八方からボワーーっと空気が当たる小さな部屋に入りました。
さて、世界一硬い食材とも言われる鰹節などの各お魚の原料たちは、削り易くするために、一度スチコンに入れて蒸すそうです。
その蒸しを経た後、削り節の機械に入れられ、皆さんがよく知る削り節になって行きます。
同じ素材でも削り方や大きさにより、全く味わいが異なるとのことで、その場で削りたてのものを味見させて頂きました。
確かに全く違う!と、削り節の奥深さを知りました。
そして、削られた側から袋詰めされ、大気中の空気を抜いて窒素を入れる機械にセットされ、ひとつひとつ窒素がたっぷり入ったぷっくりとした梱包をされていきます。
削り節の最大の敵は、酸素と湿気とのことで、酸化を防ぐために窒素を入れているとのことです。
その場に、袋の中の酸素の濃度を測る測定器もあり、しっかり酸素が抜かれていることも常にチェックしているそうです。
ちなみに、一旦その袋を開けてしまうと、その窒素の効果はなくなります。
皆さん、開封した削り節はどのように保管されていますか?
中屋さんの推奨は、空気をできる限り絞って、冷蔵庫保存が良いとのことですよ。もしくは、冷凍保存も良いとのこと。
それにより、酸化と共に、湿度の影響もできる限り避けられるそうです。
うちでは、常温保存をしていたし、しっかり空気も抜いていなかったので、反省いたしました。
中屋食品さんでは、おみちょの店舗やオンラインショップで購入できる商品以外にも、個別のお得意様の要望に合わせて、配合や削り方を変えた削り節を作られており、それは全国にお得意様がいるそうです。
工場を出る時に、出荷先の紙が貼られた段ボールを目にしたのですが、そこに並ぶ、石川県の名店さんの数々。
本当に、金沢、そして石川県、そして全国の「美味しい」の縁の下の力持ちとして、なくてはならない存在なのだなと思いました。
さて、そんな貴重な体験をさせていただいた私たちは、身体に染み付いた削り節の香りを感じながら、幸せな気持ちで帰路につきました。
中屋食品の皆さま、そして中屋さん、この度は本当にお忙しい年末の折、このような機会を頂き、本当にありがとうございました。
これからもイチバのハコでも、お出汁の大切さを微力ながらお伝えして行けたら良いなと気持ちを新たにしました。
現在イチバのハコでは、【金沢おでんのハコ】でお出汁のチョイスをしていただけるようになり、中屋食品さんの「混合削り節」をお届けさせていただいております。
また、イチバのカゴプロジェクトの【親子のハコ】でも、お子さんと一緒にお出汁をとって頂きたいという想いを込めて、中屋食品さんの「かつおおかか」を同梱しております。
最後に、中屋食品さん、12/13(火)〜25(日)の期間中、クリスマスセールとして、オンラインショップで全商品10%割引クーポンをプレゼントされております!
是非この機会に、中屋食品さんのこだわりの削り節やその他の食材もお求めください♬
中屋食品さんのクリスマスセールについてはこちらから
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