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菊姫さんとひやおろし

橋本さん.gif

投稿スタッフ

金沢|近江町市場のお取り寄せ

こんにちは。
今日は8月末にお邪魔した「菊姫合資会社」さんへの蔵見学についてのお話です。
代表の柳達司さん、営業の村本覚さんお二人に2時間もの長時間お付き合い頂き、蔵見学→お酒についてのお話をゆっくりと伺って参りました。

まず、菊姫さんについて。
「菊姫」と言えば、北陸を代表する日本酒の銘柄と言っても過言ではないでしょう。
創業は安土桃山時代の天正年間(1573〜1592)であり、ゆうに430年以上の歴史を持つ、石川県酒造組合連合会加盟33蔵のうち、最古級の酒蔵です。
菊姫が蔵を構える鶴来の地では、古くから“加賀の菊酒”という美酒が造られていたという伝承があり、安土桃山時代の貴族である山科言継の日記「言継卿記」をはじめ、数々の史書にその名が残されています。400年以上も昔のことだけに、菊酒と菊姫の直接的な関係に関しては諸説あるようですが、その歩んできた歴史の長さがゆえの、あらゆる考察に思いを馳せながらいただくお酒はまた乙なものですね。菊姫さんのHPにその考察が詳しく書かれているので、気になる方は是非ご一読いただけると、とっても面白いですよ!
加賀菊酒考:https://www.kikuhime.co.jp/story/kaga/

そして、その後、菊姫は江戸時代には加賀藩の保護酒として徳川幕府からも寵愛を受けたといいます。
“天下の美酒”と謳われた酒造りの伝統を、この地で守り続けてきた由緒ある酒蔵です。
早くから吟醸酒に力を入れており、お米に対する強いこだわりがあり、酒造好適米の山田錦を、兵庫県で“県外不出”とされていた「特A地区」の農家と特別契約を結び仕入れています。新酒鑑評会では23年連続金賞受賞の常連蔵として、その名は全国的にも有名です。
そのお酒の特徴は、味の厚みと芳しい香り、そして中華や西洋料理にも負けないしっかりとした「濃醇旨口」と言われています。

さて、そんな菊姫さん、その歴史を物語るような趣のある門構えをくぐると、土間を通り囲炉裏がある板の間へと続きます。
囲炉裏の前に代表の柳さんが座っておられ、夏でも囲炉裏には火が焚かれ、そこに吊るされた鉄瓶で沸かされたお湯で、柳さんが自らお茶を淹れてくださいました。まるで、一気にタイムスリップしたような空間でした。
柳さんのクリっとした大きな目とハッキリとした目鼻立ち、そしてその漂う雰囲気に一気に圧倒されながら、少し世間話をさせていただいた後、早速お酒造りについてお話を伺いました。
と言いつつ、かなり初期の段階から、麹菌のお話でカタカナの専門用語が並び、「私たちはまだ菊姫さんを訪問するには早すぎた!」と自分の無学さを目の当たりにしました。
(ということで、ここで伺ったお話は全くメモが取れる状態ではありませんでした!すみません。。)
そこで、営業の村本さんが「まずは蔵を見られては?」というご提案を下さり、一旦蔵見学に行かせていただく流れとなりました。その際に、柳さんに「蔵の中で写真を撮らせていただいても良いですか?」と伺ったところ、「どこでも自由に撮ってください。撮られて困るような隠す場所なんてひとつもないですし、そうゆう場所があってはならないという酒造りをしています。」という薪を割ったような気持ちの良いご回答をいただいたのもとても印象に残っています。

さて、まず板間から降りて、蔵に向かう際、村本さんが私たちに履き物をご用意くださいました。
割とサンダルのような軽装で参った私たちは、「お気遣いありがとうございます、でも自分たちの靴で大丈夫です」とお伝えしたところ村本さんがなんだかとても言いずらそうに「でも。。」とおっしゃいました。
そこでハッと!そうですよね、私たちの靴は普段色んなところを歩き回っており、どんな菌をつけているか分かりません。
一瞬で悟り「すみません、履き替えます!」とお伝えしたところ「ありがとうございます、そうなんです、なるべく蔵の中には私どもでご提供している靴で入っていただきたく」と申し訳なさそうにおっしゃってくださいました。
目に見えない繊細な菌の世界、ひとつひとつの行動に気をつけないとと、改めて酒蔵さんに参るお作法を学んだ気がしました。

しかし、皆様もご存知かと思いますが、酒蔵さんのお酒造りは秋から春の時期にかけて行われており、8月の蔵は菊姫のお二人のお言葉をお借りすると「死んでいる」お酒造りのお休みの期間です。確かに蔵は稼働しておらず、閑散としておりました。
杜氏さんや蔵人さんたちは、毎年10月20日に蔵入りし、冬を越えて3月20日頃まで、お酒を仕込むそうです。しっかりと6ヶ月間の雇用を確保し、働きやすい環境を整備するのも菊姫さんのこだわりだそうです。
また、冬のお酒を造っている際にもお邪魔したいな、なんて思っていますが、お忙しい時期でしょうし、それこそ変な菌を持ち込むのも怖いので、良いタイミングに見せていただけたのではないかと思っています。

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では、蔵見学のお話。趣のある入り口の印象とは全く違った世界がそこには広がっていました。
まず、菊姫さん、明治蔵、昭和蔵、平成蔵と創立された時代によって3つの大きな蔵があります。
明治蔵は割とイメージしやすい歴史を感じられる蔵ですが、昭和蔵と平成蔵は、それはそれは近代的で立派な建物でした。
まず、どの蔵を見ても言えることが、本当にどこを見ても整理整頓されており、清潔ということ。
酒造りのお休みの期間と言え、その整然たる様子は、良い意味で私の酒蔵さんのイメージが覆えさせられました。
また、平成蔵は7階建てのビルで、今後の温暖化に備えて全館きっちりとした空調も完備されていました。
そして、何より驚いたのがラボ施設やシステム化された様々な最新機器の設備です。
人間がもちろん最終的に全てを制御し、発酵具合や温度の管理もしているし、もちろん手作業でなくてはいけない部分は全て人の手でされているそうですが、機械に任せられるところは積極的に導入されている姿勢に驚きました。
また、酒造りと言えば杜氏さんなどの職人技に全てを委ねるというイメージがありましたが、ラボで研究をしながら、科学的にアプローチされているのも、とても興味深かったです。
いわゆるなんというか自然と寄り添う「神聖な」イメージの酒造りですが、そういうことも大事にしつつ、変えていける部分は変えていこう、そして変わりゆく自然環境に備えて先見の明を持って設備投資をするという、菊姫さんの経営美学と言いますか、そういうものに触れた気がしました。
そして、それは長い長い歴史がある酒蔵だからこそ可能であり、残すもの、変えていくもの、をきちんと分け、常に進化し続けているのではないかなと感じました。
村本さんがおっしゃっていましたが「我々はあくまでもお酒は工業製品とは捉えておらず、農業製品だと思っています」というお言葉。設備をいくら整えても工場で量産できるような製品ではなく、生きている菌や、毎年変わるお米の品質、菌の動きを左右する湿度や温度、そういうものは人間の知識や五感を最大限に駆使し酒造りをされているという意味だと理解しました。
菊姫さんと言えば、早くから「酒マイスター」制度を導入されたことでも有名です(1980年台から!)。
「酒マイスター」とは、21世紀の新たなタイプの杜氏を育成すべく、酒造りに携わる若手が、酒造りの力仕事や現場の仕事をしながら、杜氏さんが培ってきた伝承技術としての酒造りの勘を分析・データ化し、ノウハウとして蓄積することを進め、「五感と科学的知識の両方をバランス良く身につけた人材」を育てることであり、それも一貫して菊姫さんが目指している酒造りを象徴していると感じました。

金沢|近江町市場のお取り寄せ
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では、そんな菊姫さんが目指していること、それは「今のお客様を裏切らないお酒造り」。
長年菊姫を愛しているお客様に毎年同じ品質のお酒を造り続けることだそうです。
そういう一本筋の通った理想を叶えるための、その裏の計り知れない企業努力を目の当たりにしました。

他にも、菊姫さん特注のタンクは、通常のものよりだいぶサイズを小さくし、手間はかかるけどタンクの中の状態を均一にしやすいためにそうしているということや、お米「山田錦」へのこだわり(お酒1本の原価率は日本ナンバーワンだと思う、中には原価割れしているお酒もあるとのこと!)、そして設備は常に余分に用意している点など、色々こだわりのポイントも教えていただきました。特に最後の設備の部分では「良いものをつくるには余裕が必要。逆に返すと余裕があると良い仕事が出来る」というお話も胸に刺さりました。
また、菊姫さんのお酒はどれも最低2年間の熟成期間をもうけているらしいです。
その熟成を経て、変わらない味を追求されているとのことです。
ただ、そんな菊姫さんでも毎年12月と2月に限定販売される「山廃純米無濾過生原酒」と9月に発売される「純米ひやおろし」だけは、その年のものをいただけるということです。

ということで、最後にちょっと宣伝です。
そんな菊姫さんの「純米ひやおろし」、イチバのハコでも数量限定で取り扱いさせていただくことになりました。
菊姫さんの特徴「濃醇旨口」の特徴も感じつつ、柔らかく上品な旨味が感じられるお酒です。
そんな旨味の強いお酒に合わせて、これから脂のノリが良くなる「ノドグロ」と幻のエビとも言われる濃厚な旨味が特徴の「ガスエビ」を使った昆布〆のお刺身とセットにいたしました。
ひやおろしの発売日は本日9月9日。重陽の節句の日です。
古来中国では、重陽の節句(旧暦9月9日)に手近な山に登り酒宴をひらく「登高」という年中行事がありました。高いところに登り菊酒を飲むことにより厄払いをするという風習です。菊姫のひやおろしにはこの「登高」(杜甫)の詩ががラベルに印字されているのも、なんとも季節を感じられる粋な計らいとなっております。
これから秋の長夜にお楽しみいただけたらと思います。

ちなみに、菊姫さんの蔵見学から帰った夜、一緒に行ったスタッフは早速菊姫さんの「先一杯」を飲んだそうです。
私も次の日、早速酒の大沢さんに行き、お忙しい大沢さんご夫妻に矢継ぎ早に前日の興奮をお伝えして「菊」を買って帰り頂きました。
スタッフとふたりでやっぱり色々教えてもらってから飲むお酒の味は違うよねーと話しました。
皆様も、是非次回菊姫さんのお酒をいただく際、今回のこの話を少しても思い浮かべていただけたら幸いです。
菊姫さんには、さらに菊姫さんの新聞のコラム(広告ですが、内容がとてもしっかりしています)を集めた文集、そしてDVDも頂き、これからちょっとずつそのコラムを読んで日本酒の知識も増やしていけたらと思います。

また、コロナ禍でずっと中止していた蔵見学も、今年の冬は再開出来るかも?とおっしゃっていましたので、
是非皆様にも参加されてみてはいかがでしょうか?


※トップの写真は、取材日ではなく以前12月に菊姫さんを訪れた際に撮ったものです。
 (現在は杉玉はまだ飾られておりません。)